過去記事において、以下のtwitterのツイートを紹介しました。
10/06のツイートまとめ
- junya1981_RJP
以前、フジの外国人直接保有比率(2009.01.06-2010.09.03)をグラフ化しました。http://twitpic.com/2ldl7j RT @knobonzo: フジテレビの外国人株主比率をちょっと思い出しました…。 RT @kimihiro3526:
10-06 18:37
@knobonzo お役に立てて幸いです。フォローありがとうございます。以前、フジが外資規制(20%)に抵触するか否かについて分析したときに作成したものです。ネットで「フジ放送免許剥奪」という誤解が出回っていたときに、外資規制には抵触しないこと説明するための資料として使いました。
10-06 19:08
今回は上記の内容について、詳しく説明していきます。
以前、my日本SNSの方でも、詳しい説明の日記を掲載しましたので、その内容を参考に、若干の再構成を施して掲載します。
参照:
http://sns.mynippon.jp/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_diary_id=101353(my日本においては、09月05日 17:20に掲載)
今回はメディアの問題を取り上げます。
my日本でもフジテレビの外国人の株主が25.18%になったことから、
「蛆テレビアウト~」「外資規制の20%以上だ」「とうとう20%を超えた!!」
などと大騒ぎになっているようですね・・・。
それでは、本当に外資規制の20%を超えていて、アウトなのかを検証しましょう。
まずはネット上に多くソースとして、示されている証券保管振替機構のページを確認します。http://www.jasdec.com/reading/for_pubinfo.phpより
外国人直接保有比率
株式会社フジ・メディア・ホールディングス 25.18%
なるほど、たしかに数字を見れば20%を超えています。
しかしながら、同ページをみると、(提供する情報についての留意点)
・「外国人直接保有比率」は、 「外国人直接保有総数」/ 「振替口座簿記録総数」の比率(小数点第三位切捨て )を示しています。
・参考 外資規制比率
(「外資規制比率」は、各業法で定められている外資の規制比率を参考情報として記載しているものであり、この比率は、「外国人直接保有比率」とは計算方法が異なるものになりますので、ご注意ください。)
つまり、計算方法が異なるので、直接の比較対象として数字を見ても意味がないということですね。
それでは、まず外資規制について詳しく見ましょう。[PDF]電波法・放送法の 外資規制に係る改正より一部抜粋
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/securities/05102801securities.pdf外資規制比率=「総議決権」の5分の1未満(20%未満)でなければならないとする基準
(1)株主名簿の記載等の拒否
○間接出資に係る日本法人からの名義書換請求等に対応して、株主名簿に記載等すると外資規制に抵触することとなる場合、放送事業者は記載等を拒否できる旨の規定が整備されている(改正後の放送法52 条の8 参照)。
(2)議決権の制限
○間接出資に係る外資比率が増加する場合において、(1)の方法では対応できず、外資規制に抵触することとなるときは、抵触しないように外国法人又は間接出資に係る日本法人が有する放送事業者の株式の一部は【議決権】を有しないこととする旨の規定が整備されている(改正後の放送法52 条の8 参照)。
上記の規定は、直接出資についても勿論適用される。(文末の参考条文を参照)
「議決権ベース」で20%未満なら問題なく、外資規制には抵触しないということです。
つまり、地上波放送局(放送事業者)は、放送法52 条の8を行使すれば、外資規制に抵触しないようにすることができるということです。
したがって、フジテレビ・メディア・ホールディングスは外国人に株式保有で20%以上を持たれても、「議決権ベース」で20%未満に押さえることができるということです。
※株式会社フジテレビジョン(放送事業者)は株式会社フジ・メディア・ホールディングスの100%子会社
しかし、法律上はクリアできても、道義上はいかがなものかというのは私も思います。
参考に他の放送局について見てみましょう。http://www.jasdec.com/reading/for_pubinfo.phpより
株式会社東京放送ホールディングス 5.36%
日本テレビ放送網株式会社 19.25%
朝日放送株式会社 8.3%
株式会社テレビ朝日 11.16%
株式会社テレビ東京 1.12%
(注意)
・「外国人直接保有比率」は、 「外国人直接保有総数」/ 「振替口座簿記録総数」の比率(小数点第三位切捨て )を示しています。
・「振替口座簿記録総数」は、機構の備える振替口座簿に記録されている外国人保有制限銘柄の振替株式の総数を示しています。
・「外国人直接保有総数」は、法令に規定された外国人保有制限銘柄の外国人等のうち、間接保有関係により外国人等に該当する者以外の者が保有する振替株式の総数を示しています。
上記については、間接保有は含まず、直接保有のみの比較であることに注意!!
次に、「株式保有者」と「いわゆる株主(議決権有)」の違いについて触れます。
前提知識として、①から⑤まで法解釈並びに会社法の条文を列挙します。①そもそも「株式」とは、株式会社における
「社員たる地位」のこと。
※ここでいう社員は従業員ではない!!②株主の権利について、
(株主の権利)
第百五条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
一 剰余金の配当を受ける権利
二 残余財産の分配を受ける権利
三 株主総会における議決権
2 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。
③株主名簿について、
(株主名簿)
第百二十一条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
④株主名簿の効力について、
(株式の譲渡の対抗要件)
第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
⑤株主名簿の「基準日」について、
(基準日)
第百二十四条 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
3 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
4 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
5 第一項から第三項までの規定は、第百四十九条第一項に規定する登録株式質権者について準用する。
④の意味は、
株式の取得者(単なる保有者)は株主名簿に登録されていなければ、株式会社に対抗できない、つまり
株主の権利を主張することができないということですね。
例えば、デイトレードで株式を売買する人は、その差益を得ることが目的ですから、わざわざ株主名簿に登録して株主の権利を主張しないでしょう。
会社側としても、そんな目的の方のために請求されてもないのにわざわざ売買の都度株主名簿の名義書換するのは無理がありますから・・・。
それでも、株主の権利を取得したい株式保有者もいますから、株主名簿は絶えず変動しています。
会社側としては、ある時を基準として、株主の権利を行使できる株主を確定したいですよね。
ここで、重要になるのが「基準日」です。
株主が議決権を行使するのは通常、株主総会においてですね。
その株主総会において議決権を行使できる株主を「基準日」を定めることで、「基準日」における株主名簿上の株主に決めるということです。
以上が前提知識です。
それでは、もう少し具体的に株式会社フジ・メディア・ホールディングス(以下フジ)の場合で考えましょう。
フジは3月末決算の会社で6月下旬に定時株主総会を開催します。(計算書類の承認と剰余金の配当決議をする例が多い)
フジは決算末日の3月31日を「基準日」とするようです。
これにより、権利行使できる株主は、3月末に株主名簿上の株主となり、権利行使できる株主が確定することになります。
したがって、「株式保有者」と「いわゆる株主(議決権行使)」の意味は異なります。
単なる株式保有者には議決権はありません。
株式保有者は、株主として株主名簿の名義書換を請求してはじめて、会社に対して対抗できるようになり、株主の権利(議決権など)を取得します。あとは、「基準日」株主に該当すかどうかの問題。
さて、今回のフジ・メディア・ホールディングスの外国人株主について総括します。
今回話題となっているのは、株式の外国人直接保有比率が25.18%であることですね。
しかし、直近の19.99%は株主確定日における「議決権ベース」の比率なので、比較対象になりません。
つまり、
外国人直接保有比率が19.99%から25.18%になったわけでもないし、
外資規制の基準となる「議決権ベース」比率が19.99%から25.18%になったわけでもない。
外国人直接保有比率(2009.01.06-2010.09.03)について理解しやすいように、フジ・メディア・ホールディングスの外国人保有制限銘柄情報のデータを私がグラフ化しました。
↑クリックして拡大
グラフも示しているように、
2009.01.06-2010.09.03の外国人直接保有比率は、24%~27.5%の値の範囲にあります。
直近の株主総会は2010年6月29日で、おそらく株主確定日は2010年3月31日です。
19.99%は株主確定日(2010年3月31日)の「議決権ベース」比率です。
一方、外国人直接保有比率(2010年3月31日)は24.50%です。
ちなみに、いわゆる「4月21日の段階でのフジの内情という資料」(http://www.c-direct.ne.jp/public/japanese/uj/pdf/10114676/20100420184514.pdf)における2010年3月31日現在の「議決権ベース」の比率は19.99%ですが、外国人直接保有比率(2010年3月31日)でみれば24.50%です。
したがって、今回の外国人直接保有比率25.18%というのは、法律上特段問題はないのでで、「蛆テレビアウト~」などと特別に大騒ぎするようなことではないのです。
総務省に抗議・意見嘆願しても相手にされません。
法律には反していませんから、総務省の方も、私が説明したことをいちいち皆さんに説明するのは骨が折れますので、詳しく説明を求めてもおそらく説明しないと思います。
国家公務員の方々はお忙しいので。
しかしながら、
法律上はクリアできても、道義上はいかがなものかというのは私も思いますので、総務省ではなくメディアに対して抗議しましょう。
また、放送法の趣旨からすると、違和感があると、政治家、特に保守系の政治家(自民党に限らず)に意見を言いましょう。『外資規制(20%)について、なるほど理解できた!!』と思った方はクリックをお願いいたしますm(_ _)m↓→
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